2006年 06月 30日
W杯ドイツ2006:6/25の結果 ポルトガルvsオランダは壮絶な死闘
<当日の結果>
【ベスト16第3試合 B組1位vsA組2位】
○ イングランド 1 -- 0 エクアドル ● at シュトゥットガルト  
得点者:ベッカム1('60)        
警告・退場:テリー(b) ロビンソン(b) キャラガー(b) 
       バレンシア(b) C・テノリオ(b) デラクルス(b) 


【ベスト16第4試合 D組1位vsC組2位】
○ ポルトガル 1 -- 0 オランダ ● at ニュルンベルグ  
得点者:マニシェ2('23) 
警告・退場:マニシェ(b) コスティーニャ(b/s) ペティート(b) フィーゴ(b) デコ(b/s) リカルド(b) ヌーノ・ヴァレンテ(b)
       ファン・ボンメル(b) ブラルース(b/s) ファン・ブロンクホルスト(b/s) スナイデル(b) ファン・デル・ファールト(b)


どんどん行きますW杯。続けてベスト16第3試合と第4試合が本日はありました。いよいよ今日は、ベスト16最初の目玉、ポルトガルvsオランダ。試合は思いもよらないすごいことになっていた。

 第3試合のイングランドvsエクアドル。
 イングランドは、FWの枚数が少ないのでクラウチを温存する作戦に。
 ルーニーを1トップにして、中盤の4枚の底に、トッテナムのマイケル・キャリックを投入。ランパードやジェラードの攻め上がりによる守備のケアを実施した。また、右SBにハーグリーブスを起用するこれまた"ギャンブル"を実施。とにかくエクアドルの攻め上がりを牽制しつつ、選手交代による中盤の起用への変更をにおわせた采配だろう。
 一方のエクアドルはベストの布陣。A・デルガド、C・テノリオの2トップが復帰。中盤以降もベストの布陣が戻ってきている。
 試合はやはりイングランドペースで進む。イングランドはDFラインを高めに設定しプレスをかけて中盤を自由にさせない。ルーニーが1トップながら精力的に動いてスペースを作り、ジェラード・ランパードの攻め上がりをフォローしていた。
 エクアドルはなかなか自分たちのサッカーをさせてもらえない中、イングランドDFのハイボールの処理ミスを巧みに突いてゴールを狙おうとするシーンもあり、前半は牽制気味に進んでいった。
 しかしイングランドには段々グループリーグでかもし出していた「閉塞感」が漂い始める。ゲームがだれてきたような感じでしまりがなくなってきた。
 このままだだらしたペースになるのか、と言う周囲のモヤモヤ感を吹っ飛ばしたのは、貴公子の目の覚めるFKだった。
 後半15分。ベッカムのFKがついにエクアドルゴールをこじ開ける。カーブがかかりながら鋭く落ちていく芸術的な弾道はエクアドルキーパーモラの手を逃げるようにしてゴールに吸い込まれていった。
 エクアドルはその後、ララ・カビエデスを投入しより攻撃的な布陣て攻めてきたが、エリクソンは規定路線だったのが、キャラガーを投入して更に守備を安定。その後レノン・ダウニングを時間稼ぎ的に起用して逃げ切った。

 イングランドは、グループリーグのドイツvsエクアドル戦にヒントを得て、中盤を厚くするフォーメーションをエリクソンは考案。実はこの4-1-4-1システムは、W杯直前のテストマッチで実践済みだったがこの時は機能しているとは言い難かった。
 しかし、エクアドルの強みである中盤のパス捌きからサイドアタックと言う一連の攻撃パターンを、1ボランチのキャリックと高く設定したDFラインでよく防いでいた。ちなみに右SBに入ったハーグリーブスは、ユーティリティーの高さを見せつけ、エクアドル封じとしてはそこそこ機能していたことを追記しておく。
 エクアドルは、グループリーグ好調であったがドイツとの3戦で自慢の攻撃パターンを封じられるとやや手詰まりになる部分を改善することは出来なかった。もっともこの短期間でそれを改善することなど不可能。やはり、トップクラスのナショナルチームともなれば、攻撃のオプションを複数持つことが必要であることを改めて感じさせられた試合だった。



 第4試合のポルトガルvsオランダ戦は、W杯史上に残る荒れた試合になった。
 カードが20枚も飛び交い、そのうちレッドカード4枚。つまり退場者は4人にものぼりこれはW杯のワースト記録である。その結果は、よく言えば負けられない両国の意地とプライドが悪い方向に作用したということ、悪く言えばカードを20枚も出して試合をめちゃめちゃにしてしまうような審判がベスト16の試合の笛をふいてしまったという、情けない事実である。
 今大会の中でも、人々の印象に残るこの試合。今回は敢えて経過をたどるようなことは控えたい。その代わりに、試合のポイントと、両国の戦術の違い、そして勝負の差が何処にあったのかを検証したい。
 試合のポイントはかなり多く9つある。

1 開始2分、ファン・ボンメルのイエローを皮切りに20枚のカードを出してしまうような審判が裁いた試合。
2 前半7分、オランダDFブラルースがスパイクの裏を見せてポルトガルのキーマン、C・ロナウドを削りに行ったプレー。
3 前半23分 ポルトガルMFマニシェの決勝点となる、この試合唯一のゴール。
4 前半45+1分 ポルトガルMFコスティーニャのイエロー2枚による退場。
5 後半4分 オランダMFコクがゴール前のフリーの決定機をクロスバーに当てて外す。
6 後半18分 ブラルースが2枚目のイエローで退場 これで10人対10人に。
7 後半22分 DFライン修正のため、オランダMFファンボンメルout DFヘイティンガin
8 後半27分 ポルトガルDFのR・カルバーリョが負傷して、レフリーボールに。このレフリーボールは基本的にポルトガルボールでリスタートが暗黙の了解のはずだが、若造オランダDFヘイティンガが何を血迷ったのか、ドリブルを始めてオランダボールでスタートしようとしたため、デコがタックルで止めてピーッ( ̄ゝ ̄)/□この日2枚目のイエローカードで退場。
9 後半39分 オランダ コクに替えて、フェネゴール・オブ・ヘッセリンクを投入

 ポイントを頭からなぞらえて整理しよう。
1と2の時点で八百屋はこの試合が荒れることは充分に予見できた。何せこの悪名高いロシアの審判は過去にも親善試合でカードを乱発していたくらいだから、この大舞台でカードが大盤振る舞いにならないわけが無い。折角の名勝負が…暗澹たる思いだ。
3は、両国の戦術の違いでも述べるが、ボランチが守備に参加していなかった=コクが守備に参加していなかったために起こった失点。
4 最初の犠牲者はコスティーニャ。ここでフェリポンが後半からパウレタoutティシェイラ・プティinからも、残りを守りきる作戦に打って出たことが興味深い。オランダの実力を認めた上での、屈辱的作戦をこの名将が選んだことに、この試合の壮絶さがうかがい知れた。
5 エールディヴィジをご覧になっている方なら、ここでコクがスコーンと決めて同点になるイメージが容易に想像できただろう。何せ、コクはエールディヴィジで、このような場所にいつの間にか詰めてゴールしたと言うシーンを今年4回くらい見せている。しかし、リーグ戦と違いここの舞台はW杯。リーグ戦ではかるーく蹴ってゴールしていたが、今回は思いっきり蹴って外していた。この差がいかなベテランをも飲み込むほどのハイプレッシャーが選手に襲い掛かっていることがよく解る。しかし、このミスがオランダの息の根を止めた。
6 ブラルースも退場。10人対10人に。しかし、C・ロナウドにスパイクが刺さるようなタックルを太ももに浴びせており、これは悪質。退場もやむなし。
7 ファン・バステンのミス采配。殆ど役に立たなかったコクはDFラインで守備専従の仕事をさせて、前線に人をつぎ込むべきだった。絶対に、ファン・ニステルローイとヘッセリンクを共存させるべきだった(何度かテストマッチで実証済み)特にパワープレーでは大きな威力を発揮するはずだったのに…
8 オランダの若さが出てしまった象徴的なシーン。これ以外にもあったがそれは後述。
9 時既に遅し。デコが退場してから動いたようではポルトガルには勝てない。
 ポイントを解きほぐしても、オランダの負けは明らかだ。オランダには先手を打たなければならない、1点を追うものとしてのチャレンジャー精神に欠けた。

 そしてこの試合を大きく分けた戦術。それはボランチにある。
 両国とも4-3-3システムを採用していたが、(ポルトガルはやや守備的な4-2-3-1ともいえなくも無い)両国には大きな違いがあった。
 それは、ポルトガルはマニシェとコスティーニャが自陣がピンチになればしっかり守備をしていたのに対し、コクはしばしば守備をサボっていた。PSVではコクもそれでよかったかもしれないがW杯の大舞台ではその軽率さは時として致命傷になる。ポルトガルの攻めあがったマニシェを捕まえるのはコクの役目だったはず。DFラインに入って守備をしていなければ、少なくとも2列目以降の飛び出しに気を配る位の配慮がボランチには必要だ。それが出来なかったコク&オランダ。コクの位置が、セードルフやダーヴィッツだったら展開はどう変わっていたか。そう思わずにはいられない八百屋だ。

 そして、勝負の差は何処に出たのか?この試合の最大の違いは「経験」にあったと八百屋は思う。
 オランダは選手も監督も若かった、若すぎた。これが勝敗の分け目だったと思う。
 オランダの選手は、この試合に入れ込みすぎたのかそれとも血気盛んな連中が多かったのか、明らかに冷静さを欠いていた。ブラルースやヘイティンガはその最たる例で、若さゆえに間違って暴走してしまった「若気の至り」とでも言おうか。そして、後半の終盤はロングボールに腐心。悪い作戦ではないが、ロングボールを多用するならヘッセリンクの落とし先にもっと人数をかけるべきだった。どちらかと言うと中盤やや前目に位置しこぼれ球をミドルで叩き込もうといった意志のプレーヤーが多く、ペナルティーエリア内に4-5人しかいなかったのもパワープレーを物に出来なかったオランダの若さが窺える。
 最後にこの試合もっとも若さを見せてしまったのがファン・バステン監督。特に2枚目のカードを切った、ヘイティンガ。これが間違いだった。10人対10人になってDFラインの再構築をする必要があったのか?試合時間残り30分を切って1点を追いかけ、しかも相手がポルトガルなのに守りを見直したファン・バステンの采配は八百屋には解せなかった。ここは、ヘッセリンクとファン・ニステルローイを共存させ、テストマッチで試したような、ヘッセリンクの1トップにその後ろにファン・ニステルローイ、ロッベン、ファン・ペルシー、そして途中交代のファン・デルファールトを衛星的に張り巡らせ、パワープレー体勢を整えるべきだった。コクはDFも出来るので、ここに枚数を1枚切る必要はなかった。
 思えばオランダは、「あと少し」と言うシュートがかなり目立った。ファン・ボンメル然り、コク然り…後ボール1個内側なら…というこのあと少しがポルトガルとオランダの距離だったのかもしれない。名将、ルイス・フェリペ・スコラーリ率いるポルトガルに、若きオランダの"元"ゴールゲッター、ファン・バステンが敗れる。こうして、ベスト16の好カードは決着を見た。

 しかし、ポルトガルは次節デコとコスティーニャをサスペンションで欠き、C・ロナウドの怪我具合も心配。そして多くの選手がカードを1枚もらった状態でこの後も満身創痍の状態が続くだろう。やはり強国同士の激突は、選手が大きく疲弊する…。組み合わせの「いたずら」が、今後どのような影を落とすのか…ますます以って目が離せない…



<八百屋のひとりごつ W杯Ver.>
20.審判が目立ってはならない
 今大会は前回大会以上に審判の質の優劣がはっきりした大会になっている。
 欧州ではこんな意地悪な言葉がある。

 「ロシアとスペインの審判は大舞台で笛を吹かせてはいけない」

 これは暗にロシアとスペインの審判の質が低い、と言うことを指しているそうである。リーガ・エスパニョーラを八百屋は見ないので、スペインの審判について4の5の言えないし、ロシアのサッカー事情にはもっと詳しくないので、偉そうなことはいえないがロシアの審判については八百屋もあまり言い噂を聞いたことが無い。
 伝え聞く話では、ロシアのサッカーはラフ・プレー(と言うと聞こえが悪いが反則ギリギリのタックルだと思われる)が非常に多く、それを審判が安易にカードを乱発して捌くケースが多いのだとか。ベスト16のポルトガルvsオランダ戦はまさに、この餌食となってしまった。
 今大会は、遅延行為とシミュレーションへの罰則行為の強化(要はカードの提示)が明示され、カードそのものはそれほど増加していないが、明らかに試合の流れを止めるカードが増えており、審判としても捌きどころが難しい試合になっているのは充分に理解できるし、その点は同情せねばならないかもしれない。
 しかし、ゲームをコントロールするために、審判が怒りを顕にしながらカードを提示するのはいかがなものか?それがゲームをコントロールする「術」なのだとしたら、それはあまりにもアマチュア的だと言わざるを得ない。
 世界的に知られた、有名な審判のレフェリングを見ると、時に感嘆させられることもある。選手がエキサイトしているときに、審判は「笑み」を見せて選手を裁くことがある。八百屋的にセリフを当てれば
 「こんなプレーには仕方ないけどカード出すしかないよなぁ」
 的な雰囲気である。これには、選手は審判に講義はしても、怒り心頭に詰め寄るようなケースはない。審判はゲームを的確に裁く必要はあるが「主役」になってはいけないのである。
 決勝トーナメントベスト16の好カードと目されたポルトガルvsオランダ戦は、残念ながら審判が主役となってしまい、実質のプレー時間が半分にも満たない誠に残念な試合になってしまった。この強国の争い、審判が違う人がやっていれば、もっと素晴らしい試合が見られたのではないかと思うと非常に残念でならない。
 ベスト16である以上、審判もベスト16であって欲しいと思う八百屋であった。
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by 5aday | 2006-06-30 22:11 | FIFA Worldcup 2006


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